【Pioneer’s Session VOL.7】飯田大樹 × 水野翔 × 中本孝太郎 <後編>

平素より慶應ラクロスへ多大なるご支援、ご声援をいただきありがとうございます。
今回は第7回となる対談の後半をお届けします。
今回は、伝統ある早慶戦を支えている「実行委員」をテーマに、卒業生からは飯田大樹さん(2012年卒)、水野翔さん(2024年卒)、現役部員からは中本孝太郎(3年)に参加していただきました。
後編の様子もぜひお楽しみください。
実行委員を務めた中で一番大変だったことは何ですか?
飯田さん:
早慶戦には結局プレイヤーとしては出られてないんですけど、昼に練習して、その後筋トレに行って、夜は大会委員の大人たちとミーティングする日々が大変でした。帰ってきたらもう夜10時とか11時とかになっていて、「また次の日練習だ…」みたいな。この時期ぐらい(※対談日4月下旬)はまだ良かったんですけど、直前になるとミーティングが重なったり、事前搬入があったりして、そういう積み重なりが結構大変でしたね。
夜に事務作業するっていうのも、そんなに慣れていなかったので、その生活はしんどかったなっていうのと、当日めちゃめちゃ寝不足だったのを覚えています。もし自分がプレイヤーとして出ないといけない立場だったら、本当に辛かっただろうなってくらい寝不足で笑。
それなのに、現場にいる学生は当然試合に集中しているから、全然そんなことは知ったこっちゃなくて、「これどうなってんだっけ?」みたいなことを聞かれるのがものすごく大変だった記憶があります。
でも同時に、”選手が試合に十分な状態で臨める環境を作っているんだ”っていう誇らしさも感じていたのを覚えています。だから、運営とプレイヤーでは立場が違うし、運営独特の生活リズムとか当日の感じも含めて良い思い出です。
水野さん:
当日、僕は良い記憶が多いんですけど、さっきも申し上げたように、Peatixの導入を慶應男子主導でやっていて、本当にそれしかしてなかったくらいなんですよ。
当時、委員長の坂くんには、内部の指示出しや、スケジュール管理を任せていました。
Peatix導入に当たり、まずウェブ上に自分のコンテンツを出すことをやったことがなくて。
ホームページはあると思うんですけど、その文章の構成や、文字の大きさ、フォントとかを保坂さんと何度も壁打ちしながら修正をもらっていました。全然わからないと思いながら、なんとかやっていた記憶があります。

寝不足って話で言うと、僕もまさに同じで笑。
当日券の販売が、その日の0時からスタートだったんですけど、その管理を僕が担当して、4時か5時ぐらいまで起きていました。「当日券あんまり増えないな…。でも増えたら枠を追加しなくてはいけないし、増えなかったらどうしよう…」みたいなことを、1人で悶々と考えながら起きていました。そこから、1〜2時間くらい寝て、そのまま会場に行った記憶があります。
確かに僕もその時は選手じゃなかったですけど、「もし選手だったらマジでやばかったな」って思いましたね。僕の代の試合も、オーバータイムで主将が得点し、逆転して慶應が勝つ、かなりいい試合だったので。その時の録画を、まだ僕の携帯に残してあって、たまに見返すんですけど、あれ見ると、「マジでやっててよかったな…」って思いますね笑。
飯田さん:
それ、めちゃくちゃいいですね笑。
1個1個、毎年新しいチャレンジがあって、そういう変化が積み重なっていって、今年の第33回があると思うと、多分10年後振り返った時に、「テレ朝入ったのマジ熱いよな」みたいな感じにきっとなっているんだろうなって思いますね。
未来から振り返ってみると、今年の第33回の早慶戦は、めちゃめちゃメモリアルな大会になるかもしれないですね。
水野さん:
そうですね。テレビってすごい。
テレビ局の方からオファーが来たってことですもんね?
中本:
はい、そうです。
テレビ朝日さんと、もう1社お声かけいただいていて。
去年とか一昨年とかは、全然そういう話がなかったので光栄なお話です。
ラクロスがオリンピック種目に正式に決まったっていうのが、多分一番大きかったということを、テレビ朝日の方からはお聞きしました。オリンピックに向けて、ラクロスというスポーツがもっとメジャーになってくる中で、テレビ朝日がそれを先取りしていくイメージで、今年から放送していただけることになりました。
僕はただ、オファーに対してお願いしますって言っただけなんですけど。でもなんか、大きいことを成し遂げた気にはなっています笑。
水野さん:
テレビ局の方が目をつけてくれたのは去年、マーケティング部門が頑張っているおかげなのかなと、勝手ながら思っています。
飯田さん:
どんなことをやっていたんですか?
中本:
去年から、マーケティング部門をいろんな部門に分けて組織化して、本格的に活動し始めました。部費からの徴収だけだと部活の財務が成り立たないので、部費以外でどうやって収益を得るかっていうのをすごく意識していて、インスタグラムを活用した広報・ビデオの作成や、グッズの販売など、様々な取り組みを行っていました。
飯田さん:
すごいね。なるほどね。
水野さん:
クラウドファンディングもやってたしね。
中本:
はい、やってましたね。卒業された先輩方からも、「四年生を中心にすごいことをしている」と感心の声をいただき、後輩から見ても本当に素晴らしい取り組みだと感じておりました。
飯田さん:
話を聞くだけでもすごいですね。
今振り返って「もっとこうしておけばよかったな」と思うことはありますか?
飯田さん:
僕が早慶戦実行委員を務めた時は第19回だったんですけど、第18回までこうしていたから、みたいな慣習があったんですよ。
それって、すごくありがたい進め方のルールブックではある一方で、振り返ってみると「あってないようなもんだな」とも思いました。僕たちは結局、キッズスペースみたいなことにとどまりましたけど、”もっといろんなことを前例にとらわれず、自由にやってよかったな”と思っています。
当時も、CS放送みたいな話はあって。例えばテレビ局に話を持ちかけたら、もしかしたら実現したかもしれないけど、その様な発想自体がなかったというか、去年の延長線上で考えていました。Peatixだったり、テレ朝から話が来たりしているのを見ると、もっといろんなことが自分の代でもできたんだろうなって、今になって思います。だから、もっと大きな変化を、当時なりにやっておけばよかったなっていうのが一つあります。

もう一つは、他大学の集客をもっと本気で頑張れば良かったなって思っています。
当時は、いかに友達を呼ぶか、OBOGをどう惹きつけるかっていうところに、視野が狭くなっていたんですけど、「他大学に早稲田と慶應のプレーを見られるってよくない?」っていうふうに持ちかけたら、もっと他大学からも観客を引っ張ってこられたかもしれないと思います。
そうなれば、この5月のタイミングでこの2チーム、こんなに仕上がってるのやばいなみたいな感じになって、他大学にも刺激を与えて、ひいてはラクロス界全体が盛り上がらせることもできたかなと思います。
今のお話を聞いていても、他大学へのアプローチ、もっとちゃんとやっておけばよかったなって思いましたね。
水野さん:
僕はどっちかというと、集客よりもどうにか運営を成功させようという意識が大きくて。
集客は二の次みたいな感じだった。一つ「やっとけばよかったな」っていうのは、協賛にもう少し力入れておけばよかったです。
当時は、富士通川崎スタジアムで開催だったんですけど、施設の方が「川崎市の小学校・中学校と何かやりましょう」と、地域の方に向けて集客をかけてくださっていました。確か川崎市の小学生に缶バッジを配布して、来てくださいねみたいな取り組みを、施設の方が中心でやってくれたんですよね。
あと、直前に某社から協賛の連絡が来ていたのですが、進行や、スペースとかお金の都合上で、お断りさせてもらったんですけど、そういうのって、もっと早い段階で外部を巻き込めば、集客にもつながると思いました。
今回のテレビ放送もそうですけど、他にも協賛依頼って今後も絶対来ると思うんで、それに備えておくっていうのは、当時やっておけばよかったなと思いますね。
実行委員を経験して、一番価値を感じたことや、印象に残っている気づきはありますか?
水野さん:
僕は、運営側の気持ちがすごく分ったということですね。
運営側がどう動いているのか、練習以外でどのような所で汗かいてくれているのかが、見えるようになって、そこに対する感謝の気持ちは一段と高まりました。
特に、協力してくださっているOBの方々って、本当に仕事の合間を縫ってやってくれているんだなと感じました。例えば、早慶戦の時は、沢山の動線を考えて、シミュレーションして、備品がいくつ必要か、何分単位でどこに動くかを全部考えているのを見て、ここまで考えてんだって知った時の驚きというか、リスペクトはすごく高まりました。
だからこそ、プレイヤーとしてずっと真剣にやってきた人にこそ、ぜひやってほしいです。例えば、3年の5月・6月に早慶戦実行委員の仕事を後輩に渡すと思うんですけど、その後の1年間、引退まで部活へのコミットメントや、スタッフとのつながりって、より強くなると思うんです。
だから、上手い人ほどやってほしいなって、勝手ながら思いますね笑。
飯田さん:
今の意見に、僕もめちゃめちゃ共感していて。
ラクロスをどう外に見せていくかという視点が、早慶戦で身についたなって思っています。プレーに集中するだけじゃなくて、OBOGにどう見せるか、ラクロスを知らない友達にどう伝えるか、他大学や、自分の両親にどう伝えるか。この早慶戦という舞台とラクロスという競技を、どの様にしたら一番魅力的に見せられるかっていうことを、真剣に考えるきっかけになったのが、実行委員でした。
なので、まさにプレーが上手い人こそやってみてほしいし、物事を伝えたい、ラクロスの魅力を外に伝えてみたいって人にも、ぜひ挑戦してみて欲しいと思っています。
中本:
お二方のお話を聞いて、いざ自分が先頭に立って早慶戦を運営するとなった時に、日頃こんなに部活に対してスタッフの方々はコミットしてくれているんだって気づかされました。今、貴重な経験ができているなと感じています。
その上で、自分が今抱えている問題は、学生間のコミュニケーションがまだ少し足りてないかなと思っています。
学生同士で集まる機会もあるんですが、慶應女子の方とは少し仲良くなれたんですけど、早稲田の方々とは、ミーティングでもほとんど話す機会がないくらいで、少し距離感を感じています。もちろん仕事の話だけなら問題はないのですが、やっぱり仲良くなった方が、連携もしやすいと思っているので、お二方が学生間のコミュニケーションをどのように取ってきたか、ぜひお伺いしたいです。
飯田さん:
すごく古典的ですけど、まずは早慶の同じ代の実行委員で飯食いに行きましたね。あとは、当時人形町にあったラクロス協会に行った後に、源学さんが飯に連れていってくれて、キックオフみたいなことをやりました。そこで初めて仲良くなって、喋るようになった記憶があります。
当然、1人でできることって限られているので、仲良くなった方が絶対にいいに決まってるなって思っていました。
それと、当時僕がひとつだけ気をつけていたことを思い出したんですけど、”早稲田側はどう思うか、慶應側はどう思うか”っていう言葉をなるべく使わないようにしていました。早稲田側って言うと早稲田を背負っている感じが出るし、慶應がこうだよねって言うと慶應を背負っている感じが出るじゃないですか。でも、学生だからそんなの判断できないし、わざわざ主将に確認することもできないので、基本的には個人の意見という前提で、このメンバーで決めていこうっていう意識で”名前”で呼ぶようにしていました。
みんなはどう思う?みたいに話して、最後は多数決になるかもしれないけど、そこに集まっている人たちが代表だから、変に“背負いすぎない”発言を心がけていたかもしれないですね。
水野さん:
僕は、キックオフがZoomだったので、最初に会った時期は覚えてないんですけど、坂くんとは当時かなり仲良くて、2人で飯も行った記憶があります。六大学戦で早稲田の側にちょっと顔出しに行くことはしていました。
彼はラクロスが上手くて、背番号2番でディフェンスのスタメンでした。3年生の時からすごいなって思って、褒めに行ったりしていました。仕事は結構彼に、任せることが多かったので、それ以外で自分ができることはコミュニケーションだと思って、一緒にご飯行ったり、LINE通話しながら「これどうする?」って夜中に話したりしながら、共に作業したりもしていましたね。
飯田さん:
めちゃめちゃ仲いいね笑。
水野さん:
仲良かったんですよ笑。
早慶戦終わった後もリーグ戦でちょくちょく話してて、「お前、いつ出るんだよ」みたいに言われたり、「やっと出たんか、お前」みたいに言われたりしてましたね笑。最近は僕が名古屋にいるので全然コミュニケーション取れてないんですけど、「東京戻ったらご飯でも行きたいですね」くらいの話は今でもします。やっぱり、仲良くなった方が絶対いいと思うんで、ご飯を誘って行くのが一番手っ取り早いんじゃないかなって思います。早慶のラクロス部同士だし、考え方や雰囲気っていうのは絶対同じ部分があると思うので、そこで共通点を見つけていく。コミュニケーションは、自分から取りに行くのが一番いいと思いますね。
飯田さん:
共感です。
中本:
本当に、飯田さんが仰っていた早稲田側・慶應側っていう言葉を、僕もすごく多用してしまっていたので、とても参考になりました。開催まで3週間を切ってしまいましたが、個人に直接意見を求めることだったり、今からでもその様な考え方を参考にして実践したいと思います。
そして、水野さんの”自分から積極的に行く”という姿勢は、まさに自分に足りていない部分だと感じました。もっと早慶戦の運営を円滑に進めるためにも、まずは自分が積極的に動き、コミュニケーションの取り方も工夫していきたいと思います。
飯田さん:
いいね。
実際にOBの目線で入ってみると、早慶戦って前提があるようでない様な大会で、割と学生の自由にできる印象が自分の中ではあります。
その一方で、OBの方々の多大なる支援もあって、数年前から藤岡さん(※大会委員 早稲田OB)がマニュアル化してくれて、「これだけのTodoリストが今はまとめられているんだ!」っていうのにびっくりしました。正直、これ僕の現役時代にもあったらよかったなって思いました笑。でもこのマニュアルを見ておけば、早慶戦は何かしらできるっていう安心感にもなるので、本当にすごく良いものだなと思います。

また、当時は学生主体で運営していた立場でしたが、OBOGになってから関わってみると、”学生側が何をやりたいのかを引き出して、それを形にするお手伝いをする”という立ち回りになるんだなと実感しています。OBたちで勝手に決めてしまっても意味がないので、まず「なぜこれをやりたいのか?」っていう“WHY”をちゃんと聞くこと。そして、どうしたらその想いを具体的なアイディアや形に落とし込めるかを一緒に考えること。自分がこうしたいじゃなくて、
“学生がやりたいことを形にする支援役”なんだっていうのが、OBとしての目線で強く感じていることです。
水野さん:
この記事がせっかく出るんだったら、これを読んだ人には少なくとも早慶戦に来てほしいですよね。
中本:
そうですね。
飯田さん:
早めにチケット買ってほしいですよね笑。
水野さん:
中本がひやひやしちゃうんで笑。
最後に今年の早慶戦に向けて、一言お願いします。
水野さん:
僕は今名古屋に住んでいるんですけど、東京以外にお住まいの方も、ぜひ早慶戦を観に来ていただきたいです。僕ももちろん行きます。もう有休取ってでも、社会人の方にはぜひ観に行っていただきたいです。
チケットはお早めにお買い求めくださいませ!
飯田さん:
本当に、1年に1度のお祭りだと思っています。
それぞれの立場で、いろんな楽しみ方ができるイベントだと思うので、自分なりの楽しみ方を見つけて、熱量を感じてもらえたら嬉しいです。一番ミニマムな関わり方は、チケットを買って現地に足を運ぶことだと思っています笑。ぜひグラウンドに来て、みんなと一体感を持って楽しんでもらえればと思います。
僕も今年行きますので、これを機に恒例行事にしていけたらいいなと思っています。
中本:
今年の早慶戦は「お祭り」をすごく意識しています。
もちろん例年も楽しいイベントなんですけど、僕自身が今年、早慶戦実行委員長として携わらせていただいているので、“より楽しいお祭りの様な早慶戦”を作り上げていきたいと考えています。
皆さん、ぜひお越しいただければと思います!
本談もお楽しみいただけましたでしょうか?
ご協力いただいたお三方には、心より感謝申し上げます。
5月18日(日) @日吉陸上競技場にて行われる早慶戦にぜひ足を運んでみて下さい!
部員一同、心よりお待ちしております。