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日記リレー

【日記リレー2023 VOL.29】「愛情」〜塩原健司(4年/法学部政治学科/DF/#17/慶應義塾高等学校)

副将の麻生からバトンを受け取りました、塩原健司です。

麻生とは高校からの仲間ですが、しっかりと話すようになったのは今年になってからかなと思います。初めは副将に立候補したことに驚いたし、一緒にやっていけるのだろうかと不安に思ったこともありましたが、麻生が隣にいてくれたからやり切ることができました。 本当にありがとう。

二人で飲もうと誘った時に一度断られているので不安ですが、何度でも誘うのでぜひきてください。いろんな秘密も聞かせてください。

まず始めに、平素より弊部に関わってくださっている監督方、コーチ陣の方々、OBOGの方々、ラクロス協会の方々、本当にありがとうございます。定型文のように見えますが、主将という立場を務めさせていただいてから、この部活は本当に多くの方々に支えられて活動ができていることを改めて感じました。

だからこそ、「全日本選手権優勝」「全チーム優勝」という2つの目標を達成することができなかったこと、ご期待に添えず誠に申し訳ございませんでした。この場を借りてお詫びさせて頂きます。

下級生の頃から何を書こうかなと思っていた日記リレーですが、引退してから書くことになるとは思ってもいなかったです。後輩や未来の慶應ラクロスのためとなるようなまとまりのある文章を書こうと色々考えましたが、借りてきた言葉のようになってしまったので諦めました。頭の良い同期が学びのある多くのことを語ってくれているのでぜひみんなの日記リレーを読んでください。

そもそも敗戦から約1ヶ月が経ちますが、練習や壁当てに行かない生活に慣れることはなく、Bチームが全学決勝で戦う姿や六大学野球で慶應が優勝するシーンを見るたびに、なぜ自分はもう日本一を目指すことができないのだろうと気持ちが沈んでしまい、全く切り替えられていません。

結局、何を書くか悩みに悩んで提出期日になってしまいました。せっかく最後なので、これまで感じてきたことを正直に素直に綴っていきたいと思います。誰かに良い影響を与えることができたなら嬉しいです。

それでは、ここから本題です。

引退してから2日もたたない内に始まったアメリカ遠征は、飛行機やバスの移動で1人になる時間がとてつもなく長く、嫌でもこれまでのラクロス部での活動について、特に主将を務めた最後の1年間について振り返えらざるをえませんでした。

その中で、「組織への愛情」というキーワードが最もしっくりきたので、このテーマに沿って書いていきます。

そもそもですが、私が大学でラクロスを続けた理由は、高校の時に成し遂げられなかった責務を果たすためです。
塾高ラクロス部3年次、生まれて初めてリーダーという立場を務めましたが、何一つ結果を残すことができませんでした。主将の責務を一切全うすることができなかった自分にとても失望しました。そして、この悔しさを晴らすために、大学でのラクロス継続を決意しました。

チームを、同期を勝利に導くこと。

もちろん、個人としての名誉としてチームを勝たせたいという浅はかな考えがないわけではないです。しかし、そんなこと以上に、組織のために色々なことを犠牲にして身を捧げ、貢献してくれている周りの人たちのために、サポートしてくれている人たちのために、今度こそ、大学では必ずチームを勝たせる存在にならなくてはいけないという責任感がずっと自分のモチベーションでした。

つまり、「組織への愛情」が原動力でした。

この想いは、大学でプレーを続けていくうちに益々大きくなっていきます。

20年度に先輩方が特別大会で関東制覇した瞬間をスタンドから眺めていた時、
塾高ラクロス部の後輩達が3部で全勝したことを知った時、
21年度に23年ぶりに全日本選手権優勝を達成した時、
昨年学生日本一になった時、

他の代が結果を残し、笑顔で写真をとっている姿を見るたびに、自分が4年生になった時には笑ってシーズンを終えることができるように、今度こそ責務を果たさなければならないと何度も何度も心に誓いました。
いつしか日本一は、目指すものではなく、達成しなければならないものになっていました。

こんなことを考えながら無我夢中でラクロスをしていたら、あっという間に時は流れ、気づけば4年生、ラストシーズンが始まりました。本当に一瞬でした、びっくりです。

主将としてチームを運営していく上で心がけていたことは、常にチーム全体を見ようとすることです。トップチームだけがただ強いのではなく、チーム全体が同じ方向を向けているチームこそが日本一に到達することができると考えていたためです。そんなチームに憧れ、なりたいとずっと思っていました。
部員のみならず、他の体育会や他大学の主将ともチームについての会話をして、客観的にチームの状況を把握しようとしていました。

その中で、ふと感じたことがあります。

それは、慶應ラクロスという組織を愛し、誇りを持っている部員は多くないのではないか、ということです。

ラクロス部は良くも悪くも学生主体で自由です。チームの運営、管理をする幹部もコーチも学生です。正解を教えてくれる大人はいません。叱って道を修正してくれる大人もいません。自分で考え行動する必要があります。

同時に、練習やミーティングなどの拘束時間は短く、多くの自由な時間が与えられています。誘惑の多い大学生活の中で4年間という歳月をどう使うか、どう過ごすかは結局のところ個人の判断に委ねられてしまいます。

その中で、一度のプレーでも惰性に行うことなく成長に繋げていくことや動画を何回も見て反省を繰り返すこと、サボらず筋トレや壁あてを継続すること。ラクロスを始めた頃は当たり前にできていたことができなくなっている人もいるのではないでしょうか。

ただただ受け身で何も考えずに練習をこなしていくこともできるし、練習外の時間でラクロスのことを一切考えないことだってできると思います。サボりたければサボれてしまいます。これがエスカレートし、自由の意味を履き違え、自らの行動に責任を持たなくなった時、それはチームに影響を与えていきます。

部則やルールを守らない、アップやダウンを適切に行わない、ネットを運ばず準備をしない、ボールアップをしない、スカウティングをしっかりやらない、適当な理由をつけて応援にこない。どんなに些細なことでも多くの部員が見ています。「そんなことをしない人だと思っていたのに」と失望されるだけならまだ良いです。「あの人もやっているし自分もやっていいか」と一人ひとりの無責任な行動が伝播し、影響を及ぼしていく可能性があります。

こんな場面を見たことがある人はたくさんいると思うし、特に先輩がこんなことしていたら組織への愛なんて薄れてしまいます。もしこんな人間ばかりのチームだったら、部員ですら愛することはできないし、誰からも愛されることはないですよね。

偉そうなことを言っていますが、自分もルールをやぶってしまったことがあります。自分の責任感はこんな程度のものだったのかと自己嫌悪に苛まれました。

一方で、各々の行動がチームに良い影響を与えていく瞬間も目にしてきました。

自分の調子が良くなくても練習でポジティブな声を出し続けてくれている人。
朝から元気に振舞って選手のモチベーション上げようとしてくれている人。
誰よりも上手いのに謙虚で模範であり続ける人。
日々満足することなくオフの日にも社会人と練習している人。
嫌われる覚悟を持ってチームのために厳しい声を出してくれる人。
本来自分がやりたかったことを諦めてでもチームに貢献しようとする人。
何度怪我しても弱音を吐かずに立ちあがろうとする人。
もう引退しているのに誰よりもボールアップに真剣な人。

書ききれないのでこの辺にしておきますが、本当にいくらでもあります。彼らの行動が誰かの心を動かしていることは確かで、影響された人が自らの行動を変えようとするきっかけになっていると思います。

1年間チームを見ていると、たった一人のあってはならない行動も、たった一人の素晴らしい行動も組織に大きな影響を与えている実感しました。その人が思っている以上に、です。
だからこそ、慶應ラクロス部の一員として活動するのなら自らの行動に責任を持たなければならないのです。

そして、各々が自身の影響力を理解し、責任を持って行動することができた時、やっと全員が組織に誇りや愛情を持つことができ、一つの方向を向くことができるチームになることができると思います。
そんなチームこそが日本一にふさわしいと思います。

最終的に私たちはfinal4で敗れ、日本一になることはできませんでした。
もちろん結果が全てです。ただ、あの敗戦から後輩たちが何かを感じてくれていたら、変わろうと思うきっかけになっていたら、少しでも意味があったのかなと思います。あの悔しさや苦しさが未来の慶應の日本一に繋がることを心から願っています。

思い返せば、華のラクロス人生ではありませんでした。
目指した理想像には程遠く、結果を残すこともできませんでした。
それでも、もう一度やり直せるとしても、この組織にまた入って日本一を目指すことを仲間と苦しみながら、模索しながら、楽しんでいきたいです。
この組織でラクロスに没頭した日々、本当に幸せでした。
この場を借りて、7年間の自分のラクロス人生に携わっていただいたすべての方々へ心からの敬意を表します。
本当にありがとうございました。

最後に

同期
4年間と7年間、本当にありがとう。そして、頼りない主将についてきてくれてありがとう。みんなと一緒にトロフィーを持つことを夢見て、苦しいことも乗り越えることができました。
引退してからまだみんなで慰労会ができていないので、一人ひとりそこで直接お礼させてください。選手、コーチ、スタッフ、みんな大好きでした。

3年生
ラクロスが最も好きで最も熱量を注げている代だと思います。我が強くて、生意気で、可愛い後輩ばかりでした。
プレー内外で4年を引っ張り続けてくれてありがとう。
みんながいたからここまでこれました。
来年こそは日本一をとってください。

2年生
塾高組とアーセナルがしっかり融合できている代だと思います。
コーチのおかげかみんなの人柄かわからないけれど、こんな代に憧れていました。
来年、一つ上にはものすごく上手い先輩がたくさんいて、練習も試合も苦しいことが多いと思います。けれど、上手い人から少しでも何かを吸収して、一人ひとりが次の年は自分の代だと当事者意識を持ち続けること、忘れないでください。他人任せにせずに考え続けてください。そしたらきっと、強くなれます。

1年生
アーセナルはウィンターが終われば解体され、abcチームに入ることになります。
きっと苦しいことだらけだけど、ここで自分の力を見限り、後悔する人をたくさん見てきました。なんとか食らい付いて、同期の塾高組や先輩を追い抜かそう気持ちを大事にしてください。
塾高組はそれぞれのチームで負けて4年が引退する姿を見てきたと思います。来年以降はみんなの力で勝たせてあげてください。実力のある代です。自信を持ってあと3年間走り抜けてください。

川名さん
17番という偉大な番号をいただき誠にありがとうございました。
個人としてもチームとしても大きな結果を残すことができずに申し訳ない気持ちでいっぱいですが、17を背負った3年間、光栄でした。
関根が僕の代わりに素晴らしい景色を見せてくれるはずなので、自分もOBとして応援していきたいと思います。

家族
これまで多くのわがままを許してくれて本当にありがとうございました。
金銭面だけでなく、4時起きでお弁当を作ってくれたり、何度も応援に来てくれたり、感謝しかありません。
本当は結果という形で笑顔にさせたかったけれど、これからゆっくり恩返ししていこうと思います。

稚拙でまとまりのない文章をここまで読んでくださった皆様、ありがとうございます。

長きに渡った今年の日記リレーもこれでおしまいです。
STRIVEシーズン、4年生みんなの想いを読んでいただき誠にありがとうございました。
これからも慶應義塾大学體育會男子ラクロス部をよろしくお願いいたします。

2023年度 主将 塩原健司

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